山口百恵 10 〜美・サイレント〜曼珠沙華〜愛の嵐〜愛染橋
山口百恵さんは、阿木燿子さん作詞の大人びた世界観を歌われる様になり、明確にアイドルという枠から外へ出る事になります。
デビュー中盤までは、シングル曲にて70年代当時以前の価値観の女性像という 古めかしいものを(御出演されたドラマや映画の影響もあり)歌われる事が多く、、その歌詞から形成されたイメージにも山口百恵さん自身が多大な影響を受けながらも、、
そこから逆に、強い主体性を持つアーティスト路線を歩まれる事で、、
時には強い女性として、時には現代的な等身大の、、(勿論 弱さも併せ持っている)女性の一人として、、
その歌唱や演技中に、突如として別人の様に 身に纏う、、決してブレない、迫力のある凛とした雰囲気と存在感も手伝い、、社会に影響をも与え始めた存在と言えそうです。^^
(私と同じ大学出身の大先輩の方で、、
実際に三浦百恵さん邸で、山口百恵さんにお会いした方にお話しを伺う機会があったのですが、、テレビでの存在感とは全く異なり、非常に ごくごく普通の気取らない方だったそうです。^^ )
阿木燿子さん、宇崎竜童さんの夫婦コンビによる、、意味深な伏せ字のサウンドがミステリアスで儚く淡い憂いが流麗な「美・サイレント」
(個人的には、どこか省みられず冷めた関係性を暗示した内容もあり、、伏せ字には情熱が一番合う気がします。)
シットリとしたマイナー調の情緒で始まる曲であり、、
焔の様ながら、、静かに、それでいて、熱く燃え盛る 神秘性のある壮大なテーマでの、、
愛の激しい情熱を歌う「曼珠沙華」
不穏な静けさのイントロの歌唱から、ロックな疾走感で、抑えきれない程の爆発的な嫉妬に狂い、、自分を見失いそうになる「愛の嵐」
優しく穏やかな暖かさで満ちた明るい、、軽やかなサウンドながら、、恋の展開をゲームに例え、、追われる立場から本気になった恋の終わり、、負けをユーモラスに描く「シニカル」
爽やかな明るさながら、、途中シットリとした寂しさを淡く滲ませながら、、
恋の終焉の悲しみを幻想性のある不思議な例えで歌われ、非常に叙情豊かな「しなやかに歌って」
避けては決して通れない乙女から大人への成長を、、ビーナスの姿に例えながら、美しい語彙と、静寂の愁いの漂う歌で、、
悲哀の眼差しで見守る 様に歌唱された「娘たち」
大阪市浪速区にある、、川口松太郎さんの小説「愛染かつら」の舞台の勝鬘院のすぐ側にあった橋の事であり、、淡く寂しげに、、踏み切れない愛への戸惑いと不安を映し出した「愛染橋」
もう戻れない愛の終わりを、諦めの漂う切なさの緊迫感から、、
冷たく醒めた相手へと、別れを強く突きつける事を暗示する「イノセント (純粋)」
などなど、、歌唱に、情感の複雑さ、細やかさ、繊細さがデビュー時から雲泥の差となって現れていて驚かされます。
様々な出来事、、そして、それに繋がる感情を体験されたからこその、追体験としての華々しいまでの歌唱の叙情性、余韻の残され方の成長の様にも感じました。^^