〜歌謡曲に溢れた風景〜日々〜そして洋楽〜

レトロ歌謡曲&洋楽ファンの日々。

美空ひばり 5 〜河童ブギウギ〜港町十三番地〜港は別れてゆくところ〜マドロス物

美空ひばり さんは時とともに、、民謡〜演歌調の中にも、自由自在にクラシックの様に繊細で情感の豊かな抑揚を駆使される ソプラノ歌唱も身に付けていかれる様になります。


そして海への親和性が非常に強く、1950年代〜60年代にかけて特に沢山のマドロス物を歌われています。^^



1949年に美空ひばり さんが、川路龍子さん、奈良光枝さん、岸井明さん、森川信さん、池真理子さん らと出演された映画 「踊る竜宮城」 中の歌で、、


笠置シヅ子さんを強く意識し、溌剌とした楽しさの盛り上がりが弾けた、割と子供らしい雰囲気の元気で陽気なブギーで、、美空ひばり さんの最初のオリジナル曲とされる「河童ブギウギ」

(古川ロッパさん、、そして 「あきれたぼういず」 で知られたコメディアンで、美空ひばり さんの歌い方の原型とされる川田晴久*1さんやダイナ ブラザーズの方々らとともに出演された歌謡映画 ひばりのアンコール娘 という作品では、笠置シヅ子さんのカバー曲のブギーを、ジャングル ブギの替え歌を含めて複数、歌われています。)




上原げんと さん作曲でり、、和の情緒が緩やかにシットリと、、演歌色が濃いながらも軽快に優しく流れていく、初の紅白出場曲の「ひばりのマドロスさん」




船村徹さん作曲で、、

和の民謡的な明るい演歌調で、、そっと三味線を弾く洒落たマドロスさんの胸の内を歌う「三味線マドロス



男性目線の台詞が粋で、ゆったりとした淡く暖かな趣をそっと、永遠の別れに添えている「初恋マドロス



和の情緒に、高音の歌唱のまま、粋で明るく弾む様に歌い切る情感が豊かで元気に溌剌とした「浜っ子マドロス



軽やかなサウンドが明るいながら、、歌詞に どこか別れの哀しさを高らかに滲ませる「君はマドロス海つばめ」



穏やかな重いマイナー調に、親の衰えへの抑えきれない哀感と、親子の深い愛情の絆が、静かに描き出され、演歌調に表現されていく「波止場だよお父つぁん」



小林幸子さんの「ウソツキ鴎」(こちらも、シットリとした叙情性もたいへん見事なのですが、コミカルなユーモラスさが やや勝るかな?といった曲調と歌詞です。)の様に、、

女性目線のマドロスさんとの淡い遥かな過ぎ去った恋の想い出の歌詞に、、


抑揚の情緒表現が見事で巧みであり、、ソプラノな高音のファルセットを連続させ、、哀切さ、辛く苦しい悲恋を、、叙情的に ゆっくりと流れる、洒落た穏やかで優しいムードに匂わせる「港は別れてゆくところ」




1955年の上原げんと さん、西沢 爽さんコンビによる、、もう帰らぬ人への想いを、情感の漂う、静けさの曲調に漂わせた歌「あの日の船はもう来ない」



やや重苦しいマイナー調で、海の旅の哀愁を、民謡の節で、奥深い心情を丁寧に表された「鼻歌マドロス



船村徹さん作曲の、掛け声も粋な、軽快でモダンなサウンドに抑揚の効いている朗らかな歌唱が冴える「ひばりの船長さん」




星野哲郎さん、遠藤実さんコンビの、、

モダンな明るさに転調の寂しさが浮き彫りにされ、またメジャー調に戻る展開が船長さんの、秘めた心情に寄り添っている「ヨコハマ物語」



軽やかなサウンドに、マドロスさんの港町での束の間の安堵と、情緒的に胸に秘められた涙の別れを暖かな眼差しで歌う「港町十三番地



高倉健さんと共演された映画のテーマで、、楽しい暖かな曲調にマドロスさんへの恋い焦がれ、、また海への憧れが高らかに表情豊かに描かれた「青い海原」



万城目正さん作曲の、、港町の淡く遥かな過去の恋をそっと振り返り、、寂しさを そっとロマンティックなサウンドに包む「港町さようなら」



女性側が迎えに来て 運命の再会を果たした歌詞が、気っ風が良くて豪快ながら、、その しっとりと落ち着いたサウンドにも、ユーモラスな楽しさのある「ご機嫌ようマドロスさん」



島倉千代子さんの様に細やかな繊細さで、異国情緒と憧憬を暖かで柔らかに映す、、「花のオランダ船」




束の間の久々の嬉しい再会に、弾む様に心を踊らせている、、たいへん陽気なリズミカルさがユーモラスな「お久しぶりネ マドロスさん」




どうしようもない、果てない侘しさの悲しみが溢れているマイナー調が、心に未だに残る辛さを滲ませた「さよなら波止場」



などなど、横浜 磯子の海辺の出身の美空ひばり さんは、多数の、、船乗りであるマドロスさんをモチーフにした歌を歌われていますね。^^


そこには余す事のない情緒が ふんだんに織り込まれていて、時には悲痛で物悲しく、時には華やかに明るく 喜びに満ち溢れた余韻を、、

実に様々に、それぞれの曲に応じて多彩に残されています。^^




私も友人の一人と 兄が磯子に住んでいるので、磯子には何度も行って案内して もらったり泊まったりもしていまして、、


小高い丘の上にある場所のマンションなのもあり、上から港や防波堤を見下ろす形の、、磯子の風景には僅かばかりの馴染みがあります。

磯子からは横須賀の海の辺りまで見渡せて、海や船など異国への憧れを駆り立てる、、とても綺麗な場所でした。^^


*1:当時は川田義雄