〜歌謡曲に溢れた風景〜日々〜そして洋楽〜

レトロ歌謡曲&洋楽ファンの日々。

小林千代子 1 〜涙の渡り鳥〜利根の朝霧〜もしも男であったなら〜戀知りそめて

小林千代子さんは、東京音楽大学で学ばれ、クラシック声楽の出身の流行歌歌手で、、日本初の国際的オペラ歌手の三浦環さんの門下生でもありました。(他には、李香蘭こと山口淑子*1さんや由利あけみ さんなどが門下にいます。)


また小林千代子さんも、悲哀に満ちた曲から、戦時歌謡、、そしてコミカルでユーモラスなものまで、非常に幅広く歌唱されています。



坪内美子さん、竹内良一さん、澤蘭子さん、岡譲二(岡譲司)さんらの、1932年の同名の映画からの、、

明るくリズミカルな曲調に、モダンな爽やかさが走り、、高らかな歌唱の冴えた「涙の渡り鳥」



佐伯孝夫さん作詞、中山晋平さん作曲で、同名の1934年の岡譲二さん、川崎弘子さん、栗島すみ子さん、、

谷崎潤一郎さんとの交流で知られているドイツ系ハーフの江川宇礼雄(うれお)さん らの出演された映画からの、、


和の情緒で、淡く儚い恋の哀しみを静かにマイナー調で映し出す「利根の朝霧」



東海林太郎さんの「国境嵐」と作曲者(飯田景応さん)が同じで非常に類似したメロディの、、

哀感の焦燥感がマイナー調の曲に合わせ、繊細な情感で伝わってくる「旅の踊り子」



弾む様なモダンな軽やかさと明るさで、、女性の大胆な胸の内をコミカルに歌う楽しい曲の「もしも男であったなら」




小林千代子さんもネエ小唄らしきものを歌われていて、、


これは1936年の渡辺はま子さんの「忘れちゃいやョ」に始まり、、

、、渡辺はま子さんの更に次の発売曲の、モダンで明るく爽やかで健康的な艶美さが大きく増した、、

(桑野通子さん、佐野周二さんの出演された映画 淑女は何を忘れたか、、にも劇中で使われている)「とんがらかっちゃ駄目よ」、、

から当時流行していた、艶めいた語り掛け?吐息?の お色気風のため、後に内務省から発禁となる、ネエ小唄という大ヒット流行歌があります。

(とはいえ、今の方が聴くと、割と普通に聞こえるレベルです。^^笑)



(他には、ビートたけし さんの師匠の深見千三郎さんの姉である、浅草で人気芸者をしていた、芸者歌手(鶯歌手)の 美ち奴さんの しな垂れ掛かるような芸者的な節回しが特色の「あゝ それなのに」、、

ミス・コロンビアさんの「ふんなのないわ」などの、、ネエ小唄があります。)


小林千代子さんの非常に高いソプラノ高音での歌唱が光る、、ネエ小唄の一種の様な、艶やかな声の入る小唄風の「アラ恥しいわ」



叙情的なマイナー調に、淡く遥かな愁いの情感の流れていく「儚い影」



夏川静江さん、ヘレン隅田さん、藤山一郎さん、徳山璉さん、小唄勝太郎さん、浅草市丸さん らと共に小林千代子さんも出演された映画 百萬人の合唱 のテーマであり、、


(婚約者の小林千代子さんと別れて夏川静江さんを選んだためスキャンダルを巻き起こす事になる)飯田信夫さん作曲の、、


ミステリアスで退廃的な気怠さの漂う、複雑な進行の重苦しげなマイナー調が、、哀しくも深い情緒に溢れ、歌唱の抑揚での情感表現の豊かさが素晴らしい「戀知りそめて」




などなど、本格的なクラシックの素養に由来する、、

その卓越した歌唱、、ソプラノの中でも、凄まじく高い部類の音程に自然に至る歌唱は圧倒的な為、聞き応え十分となっています。^^



*1:よしこ