海洋文学を読んでいた思春期〜オーヘンリー
中学生くらいの時から、コンラッドの実体験に基づく海洋文学、海洋小説、あとR.L.スティーブンソンの宝島(スティーブンソンは怪奇文学?のジキルとハイドでも有名ですね。)を大佛次郎の翻訳で読んでいました。大佛次郎をふくめ明治生まれ世代の語彙や表現力の才ある作家の表現、洞察力は、現代人には決して真似できない程の素晴らしい完成度を誇っていると私は考えています。
海洋、船乗り、旅、冒険と言ったキーワードは新しい存在、未知に対する憧れというか、非日常への探究心というか。好奇心をくすぐられてしまいますね。パイレーツオブカリビアンなんて、まさにそんな感じでしょうか。
あとはオーヘンリーの短編集もお気に入りでした。猫好きの私としては(犬も好きです!念の為)オーヘンリーという名前の由来も好きだったりします。笑笑
なんといっても、オーヘンリーは人への視線や眼差しが大層、暖かい方のようで、作品の登場人物は20世紀初頭のどちらかと言えば、狭っくるしい価値観を強いられていた窮屈であろう時代のアメリカにおいて、庶民への悲哀や同情、他者への博愛、人同士の労わりあいを信じる、優しく心暖まる話ばかりです。
実際、彼が見聞きした内容ばかりな筈なので、その時代の庶民、一般市民達も日々、忙殺されながらも日々に立ち向かい普通に暮らしていたという、当たり前といえば当たり前の事なのでしょうが、そこを彼が暖かな眼差しを向け続けている。人という存在の優しさ、逞しさ、健気さ、を信じ続けようとしているのだと思います。